コンビニのミートソーススパゲティが好きだ。
父親と車で出かけて昼をまわると、コンビニに寄ってくれることがあった。
幼い頃の自分が最初になぜ他でもないミートソーススパゲティを選んだのか、それは覚えていないが、とにかくおふくろの味にはないうまさであった。
実家でミートソーススパゲティが出てきた覚えがないので、今思えば当然のことだ。
以降、父親がコンビニでお昼を買ってくれる機会があれば、だいたいミートソーススパゲティを選んだ。
なぜか、親に作ってほしいとねだる発想はなかった。
学校給食の献立に現れて目を輝かせたのもつかの間、麺をほぐすのが思いのほか面倒でやや萎える。
滅多に外食をしない家だったので、他のミートソーススパゲティに触れる機会もない。
こうして「コンビニのミートソーススパゲティ」への信頼は、幼少期からそこそこ大きくなるまで、私の中で育まれた。
今や私は大人になり、材料を買ってきて自分で作るときもあるし、外食で食べることもある。
いずれもうまいが、やはりコンビニのそれは格別だ。
父親と休日昼、車に乗っていなければ食べられなかった、幼少期の夢のような味は、ここにしかない。
🍅🍅🍅